Rub-A-Dub

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2013.02.12 Tuesday ... - / -
【家の気配  an atmosphere of sweet old home】



 

idon't know when





そういえばこの家に住んでもう10年になる。

10年という歳月は、そこそこの厚みがあって、
生まれたばかりの子どもが、へらず口をたたくほどに成長するだけの、
時間の流れがあるはずだけど、
それでもなお、ときどき感じるのは、この家の住人だった人の気配。



私のおじいちゃんである。
正確にいうと、この家は私の祖父母の家だけれど、
祖父と祖母はかっこよく言うと家庭内別居で、
自分たちが好きなことをそれぞれの家(家を2軒たてたことになる)で、
日がな一日楽しんでは、ごはんは仲良く一緒に中間地点で食べていた。
私が今住んでいるのは、祖父サイドの家、ということになる。

祖父はドイツ文学の先生だった。
生前は大きな大きな机の前で一日中本を読んでいるか、書き物をしているか。
くすんだ色のジャケットに、琥珀のタイピンをつけて、
ときどき外へ出かける以外は、家の中でしか姿をみかけないような人だった。
当時地方に住んでいたわたしは、うすら暗くて、
そして老人特有の湿布やら軟膏やら処方薬のむっとする匂いの
東京の家に行くのは、なにやら気分の重いことであった。


その家に18の歳に上京したときからこの10年(以上)、
住み続けるとは、まさか思ってもみなかった。
10年という歳月の中で、わたし色に塗り替えた部分も多いはずなのに、
ふとした瞬間に、祖父の存在を感じてしまうのは、どうしてだろう。
未だに使い続ける祖父の真空管アンプとスピーカー。
クラシックしか聴かなかった祖父に反して、
わたしはボブ・マーリィも聞くし、トム・ウェイツだって聞く。
昔はもっと激しい音を好んだし、大音量で酷使してきたのに。
だけど最近は、静かにピアノの音を聞くのが、しっくりするのだ。
そんなとき、ふと。
祖父はわたしのとなりのソファにいて、
一緒に音楽を聴いているような、そんな気配を感じて、
わたしはなぜだか安心する気持ちになっている。

調子の悪かったスピーカーは、
いつの間にか元どおりの調子でピアノの音を流している。






2012.07.30 Monday ... comments(0) / trackbacks(0)
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2013.02.12 Tuesday ... - / -
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